
株式会社MENOUさんにご協力いただき、検査AI MENOUを使用して鉄塔の発錆状況を検出するAIモデルを作成しました。
株式会社MENOU
https://menou.co.jp/事業内容 | AIを用いた外観検査における課題を解決するためのソリューションの開発および販売 |
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提供製品 | 検査AI MENOU、MENOU-QC |
検査AI MENOUの特長
- ノーコードで簡単操作、幅広い検査に対応可能
- MENOU独自開発プラットフォームと導入後サポート
- 画像データを検査課題の可視化や品質改善に活用可能
はじめに
当社グループ会社である住友共同電力では送配電鉄塔を多数所有しております。
従来は目視で定期的に健全性を点検しておりますが、今回鉄塔をドローンで撮影し、撮影したデータをもとに検査AI MENOUで作成したAIモデルを使用して健全性(今回は発錆の状況)を確認できないかを検証しました。
課題点
検査AIモデルを作成するにあたり、以下3点の課題点がありました。
- 背景(違う鉄塔)、写真の写り方(天気、順光逆光)によらず鉄塔を認識できるか?
- いろいろな鉄塔で応用が可能か?
- 錆と塗装剥がれの違いを認識できるか?
処理手順
1.ドローンで対象鉄塔を動画撮影
対象の鉄塔を上端から下端まで様々な方向から動画撮影します。
2.撮影した動画から静止画抽出
動画から静止画を抽出しAIに入力します。なお、検査AI MENOUでは標準機能で動画から任意フレームでの静止画抽出が可能です。
3.AIでの画像認識(鉄塔検出)
鉄塔部分をアノテーションし、鉄塔を検出させたのちに鉄塔部分以外をマスク加工します。
アノテーションはマウス操作で直観的に操作が可能です。
今回は鉄塔部分を正解データとして学習させています。
アノテーション
鉄塔検出結果
画像加工(マスク)
4.AIでの画像認識(発錆状況検出)
発錆の検出範囲を3.で鉄塔に限定させたあと、発錆場所をアノテーションし、発錆状況を検出します。
同じような赤茶色の色でも上塗り塗装の剥がれと錆の違いが検出できていました。
発錆状況検出結果
処理結果まとめ(課題点に対する結果)
課題点 | 結果 |
背景(違う鉄塔)、写真の写り方(天気、順光逆光)によらず鉄塔を認識できるか? | チューニングにより認識可能 |
いろいろな鉄塔で応用が可能か? | 今回は検証せず |
錆と塗装剥がれの違いを認識できるか? | チューニングにより認識可能 |
今回は1種類の鉄塔を画像学習に使用したため、その他の鉄塔で応用が可能かは検証しておりません。
処理結果まとめ(目視とAIとの比較)
項目 | 目視 | AI |
事前準備 | 不要 | 必要(今回4人日程度) |
検査時間 | 動画の長さ分必要 | 不要 リアルタイムで検出可能 |
品質 | 検査者によってバラつきあり | 安定 |
備考 | 検査対象が増えるほど 工数(検査時間)の削減効果あり |
検査AI MENOUで検査AIモデルを作成した所感
ソフトの操作感に慣れる時間が必要だったことに加えて、慣れるまでは鉄塔や発錆場所が狙ったように検出されず工数が必要でした。
トライアンドエラーでアノテーションを増やしたりパラメータを調整することで対応できたので、得手不得手はあるかもしれませんが直観的な操作で誰でも簡単に扱うことができそうです。
今回は鉄塔の発錆状況を確認するためだけに使用しましたが、汎用性がありいろいろな方法に活用できるのではないかと感じました。
